「多摩のカヤ場の博物誌」を見てきました

 都立桜ケ丘公園内の旧多摩聖蹟記念館で10月25日から12月20日まで開催されていた「多摩のカヤ場の博物誌」に最終日にぎりぎり滑り込んで見学してきました。
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 聖蹟の地名は、25年前に公開されたジブリ映画「耳をすませば」(原作:柊あおい、監督:近藤喜文)の聖地(作品の舞台となった地域)として聞いたことがある人も多いと思います。聖蹟は、もともとは天皇陛下が行幸の途中で休憩や宿泊したことを表す地名で、明治天皇が兎狩りにこの地を訪れていたことに由来しています。
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 尚、多摩聖蹟記念館の中の明治天皇に関する展示は撮影禁止となっていますが、カヤに関する展示については受付で確認したうえで撮影してきました。
 この企画が始まった頃は、水引集落の茅刈りの準備で、茅刈りが終わった後も、いろいろといっぱいいっぱいになっていて、足を運びそびれていましたが、もっと早く来て、報告を書いてもっと多くの人に見てもらう機会をつくることができたらよかったと感じる、とてもいい企画でした。
 と、前置きが長くなってしまいましたが、多摩聖蹟記念館に入るとすぐ左側の壁に大きなパネルとともに、「はじめに」というパネルで迎えてくれます。
IMG_9528.jpg そのパネルの中で、
「ところで、学問では文系と理系という分け方が一般的ですが、カヤ場というテーマを考えると、民俗や生物など多分野にまたがってカヤ場に関連する話題が曼陀羅のように浮かび上がってきます。」
と書かれている通り、「カヤ場(茅場、萱場)」を軸にして、茅葺き民家のことはもちろん、かって明治天皇の兎狩りの休憩に使われた富澤家住宅(現在は多摩中央公園に移築し、茅葺き屋根には銅板が被されています。)のこと、人の暮らしを助けてきた馬や牛、当時の道具、茅場に生きるカヤネズミなどの動物やバッタやカマキリなどの昆虫、都立大・牧野標本館から借りてきた植物の標本、また300年も前の貝取村と乞田村や寺方村の茅場をめぐる村同士の争いごと、民話「ワラビの恩」、端午の節句、十五夜などなど、人の暮らしについても、ほんとうに多岐にわたって紹介されていて、見応えがありました。
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 その中でも、もっとも印象に残ったのが、「屋根をつくる人々」の中に書かれていた
「屋根屋には多摩に住んでいる人と、南会津からやってくる屋根職人集団がいました。会津地方では江戸時代から関東地方に屋根葺きの出稼ぎがおこなわれていました。会津の人が多摩に定着したり、会津の人に教わって屋根職人になる人もいたそうです。」
という記載です。
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 水引集落(福島県南会津町)に茅刈り訪れ始めた約10年前に、他に多摩から参加した人から、南会津が雪に閉ざされる冬になると、茅葺き職人さんたちが多摩に出稼ぎにきていて交流があったということが多摩市に残っている文献にも書いてあったという話を聞いたことがありました。自分自身の目でその文献を読んだことがありませんでしたので、(財)多摩市文化振興財団や図書館に所蔵される資料などに基づいて作成さた今回の展示パネルを読むことができたことは大きな収穫でした。そして、その文献を探すきっかけにもなると思います。
いつになく文字数が多くなってしまいましたが、感動が伝われば幸いです。
(みよし)
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